暴力と戦争 (ジェンダー史叢書 第5巻)

読みたい論文があって購入しましたが、いざ開いてみたら、論文集なのに註がない！正直ショックでした。このシリーズのほかの巻には、詳細な註がついているものもあったので、てっきり註はついているものとおもっていました。私は、学部の３年生のときに書いたレポートに対して当時の指導教官から、３つだけコメントをもらいましたが、そのひとつは、註をつけるようにというものでした。読んで価値のある論文について、記述の根拠となった文献を知りたいと思うのは、研究者としては当然の心理だと思います。そのとき書いたレポートには、国会図書館はもちろんあらゆる手をつくして探しだした参考文献が２０冊ほどならんでいますが、いまとなっては、どの文献からどの箇所を引用したのかおもいだせません。註はあとで読む自分のためにもつけるべき、と思いました。適切な註をつけることは、研究者としての誠意の問題であり、適切な註のあるまとまった書物は、あとのひとに道をひらきます。その逆もしかりです。欧米の文献の単なる誤読によるみせかけの独創性が誰かのてによってあばかれるまで、珍妙な説が流布しつづけるということもあるでしょう。私の知る限りの論文作法では、註をつけなくてもよいのは、万人に周知の事柄について記述する場合に限られるはず。この作法、いつから守らなくてよくなったのか・・・。無論、註のない箇所が著者オリジナルな見解である場合には、註はつけようがないのですが、最初から最後までオリジナルな歴史論文というのは、私には想像がつかない・・・そんなのあったら、それたぶん嘘八百。あ、失礼。イマジネールの産物。そんな風にいわれたくなかったら註つけようよ。