取引先、上司、部下を動かす 最強の話し方 (プレジデントムック)

｢最強の話し方｣と題された話し方の特集がされているビジネスマン必見の一冊。このプレジデントムックは、過去のプレジデントの記事を再編集したものになっていますが、非常に面白い特集でした。特に、冒頭の《24症例別診断》は、読んでいて｢こういう上司いるよな｣などと思いながらニヤリとして読んでいました。同時に自分に置き換えてみて、どのように話すべきかがよく理解できる特集になっていたのではないでしょうか。ただ、｢屁理屈コミュニケーション｣や｢会議で頭をよく見せる方法｣については、個人的には主旨は理解できるものの｢ん!?｣と疑問に思わざるを得ません。テクニックとしては、あった方がいいでしょうが、やはり、話す内容が大事なのであって中身がないというのは本末転倒。ビジネスパーソンとしては、テクニカルな手法に走ることなく地道に自分のスキルアップにつとめていくことが最も基本であり、一番大事なことだと私は思います。それが、ベースにあった上でテクニカルな手法が意味を成すのではないか。PART1の記事にもありますが、｢人にわかるように伝える｣ためには、自分がまず、そのことを非常に深く理解していることが必要となるのです｣(6頁)とあるように、常に勉強してスキルアップしていくことは、ビジネスパーソンとして必須です。｢話す力は、最強のビジネススキル｣ということを別の言い方にするならば、｢自分の考えを持っていることは、最強のビジネススキル｣ということが出来るのではないでしょうか。つまり、｢話す力｣＝｢自分の考えを持つ(持っている)｣ということも言えるのではないか。話すという行為は、自分の考えや思いを伝える行為であって、そこに至る過程には自分の考えを育てるという過程が必ずあります。いくら、話し方というもののスキルを磨いても自分の考え方などを向上させることは決してできません。今回の特集は、｢最強の話し方｣と題されておりますが、その根底にあるのは決してテクニカルな話などではなく、言葉というものが自分の考えや思いを伝える道具であるということに尽きるのではないでしょうか。だからこそ、その道具をうまく使うための特集として今回の｢最強の話し方｣があります。｢話す力｣とは、｢聞く力｣であり｢考える力｣でもあるのではないか。この特集を読み終えてそのように感じました。(2019.7.24記)