宇宙空間の新しい構造: ～反ビッグバン宇宙論～

日本ではこれしか言われないビッグバン宇宙論。東大を筆頭に、権威ある学者から素人まで、これが唯一正しい理論とされているビッグバン宇宙論。これに疑問を呈する渾身の一冊。筆者が言うように、ビッグバン宇宙論に懐疑的な人も、ビッグバン宇宙論は肯定するが、どう異論を唱えているのか見てみたい人も、是非、読むべき一冊。ドップラー効果や相対論が間違っているとするようなトンデモ論ではない。現在わかっている物理法則を前提として、真空の構造を調べるべきとか、湯川ポテンシャル的な要因を持ち込むところは、建設的な問題提起だ。一部に数式が出てくるが、理系出身者なら容易に理解できる。東大に任せておくと、ビッグバン宇宙論しかやらない。カミオカンデなど、地震予知のように、莫大な研究予算を持って行って、結局、「ダメでした」になりかねない。この本の内容が正しいかどうかは、私には分からないが、そろそろ、ビッグバン宇宙論を前提とした研究よりも、異なる宇宙論を研究すべき時期に来ているのではないかということを強く感じさせる。まあ、宇宙は膨張しているとする理由が、赤方偏移がドップラー効果によるものだからとか、CMBは光が138億年かけて150GHzのマイクロ波（周波数で言わずに2.7Kという温度で表すところがいかにも怪しい）になったものだとか、挙げ句の果ては虚数時間とか特異点の通過とかインフレーションとか、ビッグバン宇宙論もいい加減すぎると思うが・・。